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防衛予算倍増に関する黄色いリボンの会の見解

~“防衛予算倍増”をやめて“食糧確保”政策を~

1月9日から1週間に渡る欧米歴訪を終えて帰国した岸田首相。

「5月に広島で開催するG7サミットに向けて環境整備を図ることが目的」だと言っていたのに、どの国の首脳会談でもG7サミットの話はそこそこに、「軍事協力」のことばかり。イタリアではメローニ首相との会談で、両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げした上、新たに外務・防衛当局間の協議を開始することで合意。英国ではスナク首相と、自衛隊と英国軍がお互いの国に滞在した際の法的地位を定める「円滑化協定」に署名をしました。

以下問題に従って、番号に対応した説明をします。

①防衛費の安定財源は、未来の世代に先送りする事無く、今を生きる我々が責任を負う。…(増税!?)

②国会での議論を経ず、次々と閣議決定。

・防衛費財源問題

・安保関連3文書(自衛隊に日米共同の統合司令本部を常設等)

・他国への軍事費”無償”支援の解禁

③食料問題

食料輸入率は63%、種子は90%、

化学肥料100%、餌60~80%  

食料自給率が危ない。軍事費より食料では?

①「内閣総理大臣として、国民の生命、暮らし、事業を守るために防衛力を抜本的に強化して行く。そのための裏付けとなる安定財源は、将来の世代に先送りすることではなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものであると考えました。防衛力を抜本的に強化するとは、端的に言うのならば、戦闘機やミサイルを購入するということです。この資金をすべて未来の世代に付け回すのか、あるいは自分たちの世代も責任の一端を担うのかを考えた次第です。侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行なった上で一つの結論をしっかりまとめて行くのが、責任政党、自民党の伝統です。今回もその伝統を背負った決定ができたと思っています。」… 欧米歴訪最終日15日のワシントンでの日本向けの記者会見で…。

②国民に一言も説明せず、国会で議論もせず、国会の閉会後にコッソリと閣議決定しただけなのに、「侃々諤々の議論を行なった」とのたまいました。

昨年の臨時国会閉会後、岸田首相は「安保関連3文書改定」を閣議決定しただけでなく、他国への「軍事費支援」を解禁すると決めました。その内容は「開発途上国の経済社会開発を目的とするODAとは別に、同志国の安全保障上のニーズに応え、国軍を対象とした新たな無償の資金協力の枠組みを導入する」というものです。

改定が閣議決定された「安保関連3文書」には、「自衛隊に日米共同の統合司令本部を常設する」と明記されています。それは「自衛隊の中に米軍の司令官が常駐し、在日米軍だけでなく自衛隊もアメリカの戦力として扱う」という意味であり、「自衛隊は米軍の一部となる」という意味なのです。つまり「アメリカの軍事作戦に自衛隊も従う」という意味であり、アメリカがどこかの国と戦争を始めたら、自衛隊もその戦争に駆り出されることになるのです。

③仮に台湾有事などに巻き込まれ、日本が戦争状態になった時のことをイメージしてみましょう。専門家からは『輸入が止まり、“太平洋戦争後の恐ろしい飢餓”を大きく上回る食糧不足』に見舞われるという推測が出ています。

我が国は、食料(63%輸入)、種(90%輸入)、肥料(化学肥料は100%輸入)、餌(60~80%輸入)を海外に依存しています。

仮に戦争になったら、食料の大部分を輸入に頼る日本人は7500万人(全人口の6割)が餓死。辛うじて生き残った5000万人も栄養失調の飢餓状態に陥るという恐ろしい予測が出てきています。

ところが、鈴木俊一財務大臣は財政制度審議会で、「食料自給率向上など考えていない。国際分業論を展開し、食料など買える所から買ってくれば良い」と言及。

ウクライナ戦争の長期化等で物価が上昇し、世界的に『食糧危機』のリスクが非常に高くなりつつある中で、日本政府は『頑なに輸入を優遇』し、酪農家や米農家を『全く救う政策を打ち出さない』で、より『飢餓リスクを高める』無策を講じています。

終戦後、飢餓に見舞われたときの日本の自給率は約80%でした。現在の日本の自給率は“表面上の数値”もずっと低い上に、“肥料”“種”“家畜の飼料”をほぼ海外に頼っている現状では実質の自給率は『一桁』とも言われています。

■国防は軍拡より食料自給率の向上を。

  政府は、12 月 16 日の閣議で 2027 年度には防衛費をGDP比2%、11 兆円に増額す るとし、この5年間で総額約 43 兆円とすることを決定しました。その内実は、米国からの 武器の大量購入であり、そのために歳出削減や建設国債の活用、法人税や所得税(復興 特別所得税延長)、たばこ税の大増税を打ち出しています。  

私たちは、『防衛予算倍増』の前に“農畜産家”の救済等『食糧安保』のための様々な政策を政府に強く求めたいと思います。

※※以下は参考リンクです。

☆日本の農畜産業の危機と打開策――食料生産守ることこそ安全保障の要 東京大学大学院教授・鈴木宣弘氏の講演より政2022年11月28日 長周新聞

☆【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】ミニマム・アクセスなどの「最低輸入義務」の見直し(再論)2022年12月22日 Ja com

☆敵基地攻撃能力は「日米で協力」明記 政府案の全容判明、閣議決定へ12/13(火) 朝日新聞デジタル

☆防衛予算拡大で自衛隊の“弱体化”を図る安倍政権① 清谷 信一 2018.09.04 アゴラ